ベトナム採取記-1

2022年11月、とある日本人がまだ見ぬ草を求め、ひとりベトナムへと旅立った……
はじめに見つけたのはこのHymenasplenium sp.、ヤクシマホウビシダあたりに近縁と予想。道路脇の崖に流れる小さな滝、その裏側に回り込んだところに自生。大変美しい…
Hymenasplenium sp.
1900m QL4D, Sa Pa, Lao Cai
[NM2022.SSH01VN]
こちらはほぼ同所的に自生。滝から少し離れた崖の下部、藪を掻き分けたところに生えていた。
滝壺に当たる場所から、岩石の上を流れる水に浸るようにしてホウオウゴケの仲間も見られた。
Fissidens sp.
1900m QL4D, Sa Pa, Lao Cai
[NM2022.SSH02VN]
滝を登っていくとほぼ垂直になってしまい、落下のリスクがあった。そのため迂回することにし、崖の左側の藪に入り、藪漕ぎしながら斜面を登った。そんな最中、足元に見慣れない草を発見。
Elatostema sp.
1900m QL4D, Sa Pa, Lao Cai
[NM2022.SSH03VN]
するとすぐ近くにホングウシダの仲間の大群生が。
Lindsaea sp.
1900m QL4D, Sa Pa, Lao Cai
[NM2022.SSH04VN]
この辺りからは急斜面すぎて写真を撮る隙はなかった。薮のツタや雑草の根本を掴みながら、張り付くようにひたすら登る。
登った先で、やや開けた草むらにでた。
ベトナム採取の目的は早くも達せられた。
Arisaema decipiens
1900m QL4D, Lao Cai
[NM2022.HL07VN]
中国南部からベトナムに分布するArisaema  decipiensである。
今回の目的の1つで、このエリア一帯に自生していると聞いていた。まさかこんな序盤に出会えるとは。
続いて出会ったのはArdisia。
RIO便のLao Cai-Eと同じ種ではないかと睨んでいるが、はてさて…(ベトナムからはArdisiaを持ち帰ることができないため、こちらは未採取。いずれ種子を採取に行きたいところ)
Ardisiaの群生を傍目に進む。
周囲はいつのまにか竹藪の中。湿度が高く蒸し蒸ししていたものの、幸い気温は低く動きやすい。
正面に大きな岩が見え、何かないかと裏側を覗き込んだ。Begoniaとの初邂逅である。
Begonia sp.
1900m QL4D, border of Lai Chau to Lao Cai
[NM2022.HL01VN]
Begonia sp.
1900m QL4D, border of Lai Chau to Lao Cai
[NM2022.HL02VN]
いずれも地味ながら面白い種だった。ここからは下り坂、油断しないように…と思っていた矢先足を滑らせ谷底に落下。沢に頭から突っ込んで全身びしょ濡れである。思いの外寒かった……。
落下した先の沢沿いにまたもやArdisia。これはおそらくA. conspersaだろう。中国から過去に導入しているが、自生地を見るのは初めてだ。
びしょ濡れになってしまったので、諦めて沢を登ることにした。といっても谷底なので傾斜は緩やかで、比較的歩きやすかった。
ここから沢に沿って上がっていき、元いた場所まで戻ろうという魂胆。
無事に戻れたのだろうか……
to be continued

珍奇植物忘備録

忘備録的な感じで書いていきます。中の人は珍草屋Plants-Axisを経営しています。

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